Adobe Stockの審査は厳しい?まず知っておきたい基本

Adobe Stockは高品質な商用素材を提供するため、審査基準が非常に厳しく設定されています。初めて投稿した際にほとんどの写真が却下されたという経験を持つ方も多いのではないでしょうか。私自身も、最初のうちはほとんど通らず、「アーチファクトの問題」や「商業的なアピール不足」などの理由で何度も落ちました。

本記事では、Adobe Stockでよく見られる却下理由を6つに絞り、それぞれの原因と改善策をわかりやすく解説します。実際に私が経験したケースも交えて紹介するので、同じように悩んでいる方のヒントになれば幸いです。

Adobe Stockでよくある却下理由6選とその対策

商業的アピールが弱い(画像の美しさまたは商業的なアピール)

写真自体は綺麗でも、広告や出版、Webデザインなどでの使い道が想像できないと、却下されることがあります。たとえば、背景がごちゃついている、主題が曖昧で目立たないといったケースです。

審査で却下された実際の写真(2018年2月に投稿)

Adobe Stockの審査で実際に却下されたチューリップの写真

審査理由:画像の美しさまたは商業的なアピール

「アドビが求める美しさまたは商業的なアピールが足りないため、コレクションに追加することができませんでした。」

このチューリップの写真は、背景がぼやけすぎて全体の構成や主題が伝わりにくいこと、また使用用途が想像しづらいことから、商業的アピールが弱いと判断された可能性があります。
見た目の美しさだけでなく「この画像がどう使われるか?」を常に意識することが、商業的アピールを高める近道です。

改善ポイント
・ テキストスペースを意識した構図にする(余白の取り方)
・ 被写体を明確にする(余白を意識)
・ 主観的な「綺麗」ではなく、利用されることを意識した構図を心がける

アーチファクトの問題(ノイズや画像圧縮による劣化)

特に夜景や暗所の写真、圧縮率の高いJPEG画像に多く見られます。画像を拡大するとにじみやノイズ、バンディング(色の段階的な線)が確認されることがあります。

審査で却下された実際の写真(2018年11月に投稿)

アーチファクトの問題で却下されたコスモスの写真

審査理由:アーチファクトの問題

「過度な加工修正とノイズが多すぎることがレビュー時にわかったため、コレクションに追加することができませんでした。」

このコスモスの花の写真はテキストをいれるための余白をとった構図ですが、花びらや背景にノイズやにじみ(アーチファクト)が見られたことが原因で却下されたと考えられます。
素材としての“汎用性”を重視するのがAdobe Stockの審査方針。審査通過を狙う場合は画像のチェックする意識を心がけましょう。

改善ポイント
拡大チェックを習慣にする:特にボケ部分や輪郭付近は100%拡大で目視確認する
RAW現像から丁寧に仕上げる:LightroomやPhotoshopでノイズ軽減を適切に使用する
書き出し時の設定が間違っていないか:画質100%、解像度300dpi、カラープロファイル(sRGB)などを確認する

フォーカスがあっていない画像(ピントの甘さやブレ)

見た目では問題ないように見えても、Adobeでは厳密にチェックされます。特に風景や商品撮影では、細部までシャープであることが求められます。

審査で却下された実際の写真(2018年5月に投稿)

フォーカスが甘く却下された黄色いバラの写真

審査理由:フォーカスがあっていない画像

「画像を100%で表示するとピントが合っていないため、コレクションに追加することができませんでした。」

この黄色いバラの写真は花びら全体にピントが合っていない状態で、特に拡大表示すると奥の方のバラの花びらはブレて、ぼやけています。
Adobe Stockでは、100%表示での厳密なピントチェックが行われるため、投稿者が気づかない微妙なフォーカスのズレでも却下されることがあります。
写真を投稿する前に、LightroomやBridgeなどで拡大表示にして主題にピントが合っているか確認することが、通過率アップの基本です。

改善ポイント
ピント合わせの再確認:オートフォーカス後に拡大表示で確認、またはマニュアルフォーカスを併用する
被写界深度を調整:F値を8〜11程度にして、被写体全体にピントが合うようにする
三脚を使用する:特に接写や風の影響があるときは安定させることでブレを防げます
手ブレ防止策を強化:シャッタースピードを速めに設定する(1/250秒以上など)

類似するコンテンツ(同構図・同シリーズの写真)

構図や色味が少し違うだけの写真を複数投稿すると、類似と見なされて却下される可能性があります。私も、桜の写真を投稿したところ、「類似するコンテンツ」として却下された経験があります。

審査で却下された実際の写真(2025年4月に投稿)

審査理由:アドビコレクションで類似するコンテンツ

「あなたの提出物が、既にAdobe Stockで公開されているコンテンツと非常によく似ていると判断されました。」

この写真は小田原城の常盤木門のと桜を組み合わせた一枚ですが、構図やタイミング、アングルが既存の作品と非常に似ていたことが、却下の原因となりました。
特に桜や観光地の写真では「ありがちな構図」が存在し、投稿者自身が過去に出した作品との類似や、他のコントリビューターの写真との重複が発生しやすくなります。
Adobeは大量のコンテンツを管理しているため、「少し違うだけ」では審査を通過しません。「どう違うか」を明確に見せる必要があります。

改善ポイント
構図を大胆に変える:撮影する時にローアングル・俯瞰・斜め構図・対角線構図などで差別化する
時間帯や天候を変える朝焼け・夕方・雨上がりなど、光や雰囲気に変化を加える
使用シーンを意識する:単なる記録写真ではなく、「誰がどこで使うか」を意識した作品づくりをする
シリーズ投稿でも、選抜して投稿:最も完成度の高い1〜2枚に絞って投稿する

ホワイトバランスのズレ・色かぶり

青すぎる、黄色すぎるなど、自然な色味から外れていると「不自然」と判断されることがあります。特に曇り空や室内での撮影は、ホワイトバランスがずれやすいです。

記事内掲載例(2017年11月に撮影)

ホワイトバランスが暖色寄りにズレた風車の風景写真

審査には至っていないが、参考になる色かぶりの例

この写真は実際に審査で却下されたものではありませんが、ホワイトバランスのズレによって却下される可能性がある例として紹介します。

全体に黄〜赤系の色かぶりが見られ、空や芝生の色がやや不自然に感じられる印象です。
Adobe Stockでは、見た目の雰囲気よりも「自然で正確な色再現」が重視されるため、このような写真は却下対象となる可能性があります。
アートとしての色味よりも、商用利用を想定した“自然な見た目”が優先されます。
見た目の「雰囲気」と「実用性」のバランスが、審査通過のカギです。

改善ポイント
Lightroomでホワイトバランスを調整:「自動補正」や「色温度」スライダーで中立的な色合いに整える
グレーカードでホワイトバランスを撮影時に調整:現場での補正も有効です
白や灰色の基準点を使って整える:雲や建物の壁などが目安になります

権利関連の問題(知的財産権・肖像権)

有名な建築物、ロゴ、キャラクター、人物の顔が写っている写真は、リリース(使用許諾書)がないと却下されることがあります。見落としがちなポイントですが、商用利用前提のAdobeでは非常に重要です。

審査で却下された実際の写真(2023年1月に投稿)

企業ロゴが映り込んで知的財産権の侵害として却下された二子玉川の街並み写真

審査理由:知的財産権の侵害

「知的財産(IP)法で保護されていると思われる要素が含まれているため、コレクションに含めることができませんでした。」

この写真は二子玉川のビル群をクリアな青空とともに撮影したものですが、高層ビルに企業ロゴや建物固有のデザインが写り込んでいることで、知的財産権の侵害と判断されたと考えられます。
「街並み全体だから大丈夫」と思っていても、一部に知的財産が含まれるとアウトになります。風景=安全ではないという認識が重要です。

改善ポイント
・ ロゴ・社名などは写り込まないように構図を調整する
・ 編集でロゴを消す or 目立たない位置でトリミングする
・ 著名な建築物は撮影ガイドラインを事前に確認する
・ 不明な場合は建物リリース(プロパティリリース)の取得を検討する

画像編集を始めたい方におすすめ!

Adobe Lightroom

審査落ちは成長のチャンス|改善の積み重ねで通過率アップ

私もはじめの頃は、通過率が1割にも満たない時期がありました。しかし、落ちた理由を記録して、ひとつずつ見直すことで、徐々に通過率が上がってきました。審査コメントは単なるNGではなく、次の改善点を教えてくれる“ヒント”だと考えると、前向きになれます。

Adobe公式の審査基準をチェックしよう

Adobe Stockでは、公式サイトで審査基準を公開しています。より詳しく知りたい方は、以下の公式ヘルプも確認してみてください。

Adobe Stockでコンテンツが却下される一般的な理由

まとめ|「落ちた理由」を知ることが、次の一歩につながる

審査に落ちると落ち込んでしまいがちですが、実は改善できる理由ばかりです。少しずつ見直していくことで、審査通過率も上がり、投稿する写真の質も向上します。今回紹介した6つの理由を意識して、より良いストックフォト作品につなげていきましょう。

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