この記事は「都内庭園フォト散歩シリーズ」の第3弾です。
⇒ 前回の記事はこちら:「清澄庭園フォト散歩|リフレクションを意識して撮る新緑の庭園美」

旧芝離宮恩賜庭園の見どころ

旧芝離宮恩賜庭園

潮入りの池|かつて海とつながっていた“生きた庭園”

江戸時代、この池には海水が引き込まれており、潮の満ち引きにより水位や景観が変化していました。現在は淡水ですが、当時の“潮入り”の名残が感じられます。

池泉回遊式庭園|歩くことで景色が変わる構成美

中央の大泉水を中心に、築山や中島、石橋が配置された典型的な池泉回遊式庭園。歩くたびに視点が変化し、絵巻物のように風景が展開されます。

枯滝石組|水を使わずに流れを表現する江戸の石の技

実際の水は流れていませんが、石の配置で滝の流れを表現する「枯滝石組」。江戸の庭園文化に見られる“枯山水”の手法が取り入れられています。

簡素な設計美|限られた空間に込められた美学

六義園などに比べるとコンパクトながら、見せ場の演出が巧み。政治家・大久保忠朝の立場や海辺の立地など、当時の背景も反映されています。

都市との対比|高層ビルがつくる“現代の借景”

現代では、背景に立ち並ぶビル群が、偶然にも“都市の借景”として庭園風景に溶け込んでいます。歴史と現代が交差するユニークなロケーションです。

アクセス情報

  • 所在地:東京都港区海岸1-4-1
  • アクセス方法
    JR山手線・京浜東北線「浜松町駅」北口より徒歩約1分
    都営浅草線・大江戸線「大門駅」より徒歩約3分
    ゆりかもめ「竹芝駅」より徒歩約10分
  • 開園時間:9:00〜17:00(最終入園は16:30まで)
  • 休園日:年末年始(12月29日~1月1日)
  • 入園料
    一般:150円
    65歳以上:70円
    小学生以下および都内在住・在学の中学生は無料

※上記は2025年5月時点の情報(変更の可能性あり。公式サイトでご確認ください)
旧芝離宮恩賜庭園(東京都公園協会)公式サイト

構図で楽しむ、旧芝離宮恩賜庭園の写真散歩へ

江戸時代の大名庭園として親しまれてきた「旧芝離宮恩賜庭園」。浜松町駅から徒歩すぐという都心にありながら、静かな池泉回遊式庭園の風景が広がります。

今回は、そんな庭園を「構図」に注目して撮影してみるというテーマで写真散歩をしてきました。

構図とは、写真を構成するうえでの「画面内の配置バランス」のこと。ちょっとした意識で写真の印象がグッと変わる要素でもあります。

この記事では、「二分割構図」「三分割構図」「日の丸構図」など、基本の構図を使って実際に撮影した写真を交えながら、構図ごとの特徴や見せ方の違いを紹介していきます。

構図で魅せる、旧芝離宮恩賜庭園の撮影ポイント紹介

二分割構図|静けさと対称性を生かした庭園風景

二分割構図とは?

画面を上下または左右で2つに分ける構図。水面のリフレクションや空と地面など、対称性や均衡を意識した撮影に向いています。静けさや安定感を演出したいときに効果的です。

八ッ橋と東屋を入れた風景を、水面のリフレクションを活かして上下に二分割の構図
八ッ橋と東屋を入れた風景を、水面のリフレクションを活かして上下に二分割の構図にしました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

小池にかかる石橋を中心に、水面と地上部分を水平に二分割したシンプルな構図
小池にかかる石橋を中心に、水面と地上部分を水平に二分割したシンプルな構図にしました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

三分割構図|主役を明確にする構図の基本

三分割構図とは?

画面を縦横それぞれ3分割し、分割線や交点に主役を配置する構図。自然なバランスで視線を誘導しやすく、風景・人物・物撮りなど幅広いジャンルで使える基本構図です。

雪見燈籠を三分割の交点に配置。視線を自然に誘導し、メリハリを与える庭園の情景
雪見燈籠を三分割の交点に配置。視線を自然に誘導し、メリハリを与える庭園の情景にしました。
雪見燈籠を三分割の交点に配置。視線を自然に誘導し、メリハリを与える庭園の情景の三分割法グリッド
三分割法グリッド

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

同じく燈籠を交点に配置。背景の池や植栽とのバランスも考え、主役が際立つ構図
同じく燈籠を交点に配置。背景の池や植栽とのバランスも考え、主役が際立つ構図にしました。
同じく燈籠を交点に配置。背景の池や植栽とのバランスも考え、主役が際立つ構図の三分割法グリッド
三分割法グリッド

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

日の丸構図|紫陽花の存在感を真ん中に

日の丸構図とは?

主役を画面の真ん中に配置する構図。強調したい被写体が明確なときや、シンプルに見せたいときに効果的です。背景を整理し、主役の存在感を際立たせます。

紫陽花を画面中央に据えて撮影。背景のボケが主役を引き立てるような構成
紫陽花を画面中央に据えて撮影。背景のボケが主役を引き立てるような構成にしました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

額縁構図|自然のフレームで切り取る都会の景色

額縁構図とは?

木の枝や建物の窓など、自然物や人工物で被写体を囲む構図。被写体に視線を集中させやすく、奥行きやストーリー性を加えることができます。和の風景とも相性が良いです。

新緑の葉を額縁として活用。都会と自然の対比になるようにフレーミング内に高層ビルを配置
新緑の葉を額縁として活用。都会と自然の対比になるようにフレーム内に高層ビルを配置しました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

対角線構図|橋のラインで視線を導く

対角線構図とは?

主役やラインを画面の対角線上に配置する構図。動きや奥行きを感じさせる視線の流れを作ることができ、躍動感やリズムを演出したいときに効果的です。

奥行きを意識し、八ッ橋を対角線上に配置し、視線の流れを意識した構図
奥行きを意識し、八ッ橋を対角線上に配置し、視線の流れを意識した構図にしました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

サンドイッチ構図|左右の要素で中央の主役を引き立てる

サンドイッチ構図とは?

主役を中心に、左右(または上下)に背景や物を配置して“挟む”構図。自然な額縁のように主役を引き立て、奥行きや奥の世界を感じさせる表現ができます。

石柱を左右に配置し、中央に咲くツツジを主役として、引き立てた構図
石柱を左右に配置し、中央に咲くツツジを主役として、引き立てた奥行きのある構図にしました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

枯滝の岩の間に咲いていた小さな花。岩を挟むような構図で主役の小さな花を撮影
枯滝の岩の間に咲いていた小さな花。岩を挟むような構図で主役の小さな花を撮影しました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

庭園 × 高層ビル|旧芝離宮と都市風景の融合表現

八ッ橋から高層ビル群を望む構図。手前の橋のラインと奥のビルで奥行きを演出
八ッ橋から高層ビル群を望む構図。手前の橋のラインと奥のビルで奥行きを演出しました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

高層ビルの全景と池の水面に映るリフレクションも取り入れた一枚。庭園の自然と都会の融合を表現
高層ビルの全景と池の水面に映るリフレクションも取り入れた一枚。庭園の自然と都会の融合を表現しました。

撮影した場所はこちら ▶︎ Googleマップで見る

まとめ|構図を意識すると庭園写真がもっと楽しくなる

構図を意識して歩いてみると、いつも見ている風景の中にも新しい発見があります。

  • 静けさや対称性を見せる「二分割構図」
  • 主役が自然に引き立つ「三分割構図」
  • 被写体を中心に配置する「日の丸構図」
  • 自然を活かした「額縁構図」
  • 視線の流れを作る「対角線構図」
  • 奥行きや主役の存在感が出る「サンドイッチ構図」

旧芝離宮恩賜庭園は、都会のビル群を背景にした和と現代のコントラストが魅力で、構図を試すにはうってつけの場所です。

カメラ初心者の方も、スマホユーザーの方も、構図をちょっと意識するだけで写真の楽しみ方が広がります。ぜひ、自分だけの視点で風景を切り取ってみてください。

※掲載写真についてはこちらをご覧ください。