はじめに|“ジャンル別ポートフォリオ整理”シリーズの第2回

前回は、Adobe Stockで「統一感とシリーズ性を重視した見せ方」について紹介しました。

今回は、国内ユーザーが中心のPIXTAに焦点を当て、「日本語検索で見つけてもらう」ためのポートフォリオ整理法を解説します。

PIXTAでは、作品の地域性・季節感・被写体の具体性が収益に直結します。 タイトルやタグ付けの精度を高め、作品を“ジャンル+地域タグ”で整理して、検索されやすく・購入者に見やすいポートフォリオを目指しましょう。

【第1回】Adobe Stockでポートフォリオを整理しようの記事はこちら

PIXTAの特徴と整理方針

国内ユーザーの「具体的なニーズ」に応える

PIXTAは国内市場に特化したプラットフォームであり、日本語タグの最適化検索キーワード設計が売上を左右します。同じ作品でも、タグやタイトルの付け方次第で検索結果の表示順位が大きく変わるため、購入者の検索動向を予測することが鍵となります。

特徴まとめ

  • 日本語タグ・日本語タイトルがそのまま検索結果に大きく反映される。
  • 「地名+季節+被写体」の組み合わせが具体的な検索ニーズに合致し、クリック率を高める。
  • 同一エリアや特定のテーマでのシリーズ展開(まとめ)が好まれやすい。
  • 海外サイトに比べて、“具体的でわかりやすい構成と説明文”が評価される。

整理方針

  1. 検索軸の設定: 「風景」「街並み」「建築」「自然」「観光地」など、主要ジャンルを明確に分類する。
  2. タイトル戦略: タイトルには地名・季節・被写体名を必ず入れ、検索のフックを作る。
  3. シリーズ化の徹底: 同地域や同テーマで撮影した写真は「まとめシリーズ」として整理し、購入者の周遊を促す。

整理のポイントと実践例

検索流入を増やすためのキーワード戦略

PIXTAのポートフォリオを整理する際は、「購入者がどのような検索キーワードで探すか」という視点を常に意識します。具体的なキーワードをタグに入れ、閲覧者が連想しやすいラインナップを作りましょう。

整理のポイント

  • タイトルと説明文の連動:
    タイトルだけでなく、説明文にも「地名」「季節」「被写体」を含め、検索キーワードを網羅する。
  • 類似構図の絞り込み 
    類似構図の作品は3〜5点に絞り込み、シリーズとして見せることで、ポートフォリオの質の高さを保つ。
  • 管理軸の固定 
    地域・季節・被写体の3軸で分類ルールを固定しておくと、追加投稿時の管理がしやすい。

実践例(ポートフォリオ内の作品例)

ジャンルタイトル(検索フック)地域タグ季節備考(購入者層を想定)
風景池田城跡公園の紫陽花(雨上がり)大阪府・池田市初夏、梅雨地域広報、観光パンフレット向け
都市夜景高崎市街を望む夜景(展望台より)群馬県・高崎市通年地域ニュース、ビジネス素材向け
背景素材和風の金箔テクスチャ(筆跡あり)日本年中商用デザイン、和食店のメニュー向け

キーワード補充のコツ

PIXTAの購入者は「特定地域の素材を探している」ケースが非常に多いため、地名タグ+具体的モチーフを含めると検索流入が増えやすくなります。例えば、「桜」だけではなく「目黒川の桜」「夜桜」など、より具体的な複合タグを積極的に使いましょう。

ポートフォリオを“検索型リンク”で整理する

外部サイトからの流入強化

PIXTAでは、検索条件を保持したURL(パーマリンク)を使って、自分のポートフォリオを「テーマ別アルバム」として整理できます。

これを活用すれば、作品をジャンル別に一括表示できる自動更新型のカテゴリページとして機能させられます。

設定例(例:TECHDポートフォリオの場合)

PIXTAのTECHDポートフォリオで「観光地」と検索した結果画面。都市夜景や彼岸花、観光地の風景写真が並んで表示されている。
PIXTAポートフォリオで「観光地」と検索した結果画面。ジャンルごとにキーワード検索を設定しておくことで、作品シリーズを簡単に整理・共有できる。
  • 都市夜景: https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=夜景
  • 花・自然: https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=花
  • 観光地・街並み: https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=観光地

これらのリンクをSNSプロフィールnote記事ブログ固定ページなどに掲載することで、ユーザーを直接、作品の集合ページへ誘導できます。

管理のコツ

ExcelやNotionで以下のようにURL一覧を管理しておくと、リンク切れやキーワードの変更にすぐに対応できます。

ジャンル検索キーワード管理用URL
夜景夜景https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=夜景
https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=花
観光地観光地https://pixta.jp/portfolio/TECHD?keyword=観光地

“売れるジャンル”を見極める整理ステップ

販売実績に基づく投稿戦略

PIXTAでのポートフォリオ整理は、単なる分類で終わらせず、販売データをもとにジャンルを再構築する作業へと昇華させましょう。実際に売れたジャンルを把握することで、次の投稿戦略の精度が飛躍的に向上します。

ステップ例

  1. 販売データの収集: Excelなどで「ジャンル別販売表」を作る。
  2. 実績の記録: 作品ごとに「販売回数・お気に入り数・掲載サイト」などを記録する。
  3. 傾向の分析: 売れている作品の傾向を分析する(例:「地域タグ付きの作品が好調」「〇〇という季節テーマが売れ筋」など)。
  4. 戦略的投稿: 次の投稿で“売れている同系統”のテーマや地域を意識的に増やし、販売機会を最大化する。

これにより、PIXTA特有の「検索型販売」に最適化された、効率の良いポートフォリオ運営が可能になります。

必須項目:販売実績を分析するためのシート構成

販売傾向を客観的に把握し、次の投稿戦略を立てるために、以下の項目でExcelまたはGoogleスプレッドシートを作成することをおすすめします。

カテゴリ項目名記録・入力内容分析の目的
基本情報作品ID (PIXTA ID)各作品の固有ID(検索・管理用)作品の特定
基本情報タイトル(日本語)登録している作品タイトル全体検索キーワードの検証
属性(分類)メインジャンル風景、街並み、建築、自然、人物、などどの分野が売れているか
属性(分類)地域(都道府県/都市)東京都、大阪府・池田市、など地域ニーズの把握(地域タグ戦略)
属性(分類)季節/時期春、初夏、通年、クリスマス、など季節需要の把握(季節タグ戦略)
属性(分類)キーワード群(自由記載)検索に強いと感じる主要タグ複合キーワード戦略の検証
販売実績販売回数(累計)PIXTAでの総ダウンロード数全体の売れ筋把握
販売実績ロイヤリティ(収益)その作品から得られた総収益収益性の高い作品の特定
販売実績アクセス数作品詳細ページでの閲覧数作品への流入量、人気度の指標
投稿・管理投稿日PIXTAに登録した日付新旧作品のパフォーマンス比較
投稿・管理掲載サイトPIXTA、Adobe Stock、両方、などサイト間の販売傾向比較
戦略メモ分析メモ例:「地域性が強くニーズあり」「季節を外しても継続販売」など売上傾向を文章で記録
戦略メモ次の撮影テーマこの作品から派生させる次の作品のテーマシリーズ展開の計画

作成と活用のポイント

  • データ更新頻度: 
    定期的に(例:月1回)PIXTAの販売履歴からデータを転記し、最新の状態に保ちましょう。
  • フィルタ機能の活用: 
    Excelのフィルタ機能を使って、「ジャンル:風景」かつ「季節:初夏」で絞り込み、「販売回数」を降順に並べ替えれば、最も売れている組み合わせが一目でわかります。
  • 収益性の分析: 
    販売回数だけでなく、ロイヤリティ(収益額)を見ることで、単価が高く売れている作品(例:拡張ライセンスでの販売が多い作品)を特定できます。

これにより、PIXTA特有の「検索型販売」に最適化された、効率の良いポートフォリオ運営が可能になります。

まとめ|日本語検索を意識した“わかりやすい整理”が鍵

PIXTAでは、タグ・タイトル・地域情報の正確さが購入者の「信頼」につながります。

「地名+季節+被写体」のセットで作品を整理し、購入者に見つけてもらいやすく、買われやすいポートフォリオを構築しましょう。具体的なキーワードを活かした整理を続けることで、あなたのポートフォリオは“検索に強いストック資産”へと着実に育っていきます。

次の記事予定

  • 【第3回】Shutterstockでポートフォリオを整理するコツ
  • 【第4回】ブログ&Pinterest連携によるブランド化

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こちらの記事では、実際にPIXTAの私のポートフォリオから“検索型リンク”を使っています